フードファイト
【あらすじ】
ある街に『つくし園』という孤児院で育った伊原満(草なぎ剛)という男がいた。

孤児院を出た現在の満は、大手食品会社『宮園総合食品』の食品企画課で働いていることになっていた。
『つくし園』の園長(八千草薫)や園の子供達、ボランティアの田村麻奈美(深田恭子)に心配をかけたくないという理由である。
実際のところは『宮園総合食品』の清掃員としてアルバイトをしていた。散々迷惑をかけてきた上に就く職がなくアルバイトをしているなど到底言えるわけがなかったのだ。

さらに彼はこれよりも大きな隠し事をしていた。その秘密とは満が“フードファイター”であること。
フードファイターとは一定のルールの下、一定時間内もしくは決められた量の勝利をいかに多く早く食べるかを争う、その名のとおり“食”の格闘家である。

戦いの場は『宮園総合食品』の地下4階。非合法に行われている闇賭博「フードファイト」で、満は9連勝中の現チャンピオンだったのだ。
このフードファイトは『宮園総合食品』会長・宮園恭作(佐野史郎)が考案した接待ショーで、その客は美食に飽きてしまった政財界のトップたちだった。
彼らは老いとともに衰えてゆく食欲を他人に食べさせることで満たし、それと同時にどちらが多くを食べられるのかギャンブルにして楽しんでいるのである。

その為「フードファイト」に出場し勝利を収めたとき、賞金として300万円もの賞金が毎回用意されている。
満はせめてもの恩返しとこの賞金を全て『つくし園』に匿名で寄付していた。

そんなある日、9連勝中の満に「強すぎて賭けが成立しない」と言ってきた女がいた。
恭作の妻・冴香(宮沢りえ)である。
冴香は次の試合でわざと負けるように満に持ちかけた。八百長の見返りは『宮園食品』の正社員のポスト。『つくし園』のみんなに宮園食品で働いていると嘘をついている満にとっては申し分のない最高の取引だった。

満はこの条件を飲むことにしたのだが、このことが彼の人生を狂わしていくことになるとは、今は誰も知らなかった…。

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