4戦連発中田翔､マー君の完封阻止! 11戦8発

甲子園を沸かせた投打の怪物が､球界史に残る名勝負を繰り広げた｡
日本ハム･中田翔内野手(21)と､楽天･田中将大投手(21)の公式戦初対決｡
凡退した打席で配球を読んだ中田は､八回の第3打席で4試合連続本塁打となる左越え8号ソロを放った｡
11試合で8本塁打｡驚異のペースで放つ本塁打は､すべてが第3打席以降生まれている｡
配球を見事読まれ､真っ向勝負で完封を逃した田中は｢悔しいです｣と振り返った｡

試合はすでに決まっていた｡
だが､4万人超のファンはかたずをのんで2人の対決を見守った｡

7点を追う八回､先頭打者の中田のバットから弾丸ライナーが左翼スタンドに向けて一直線に伸びた｡

｢打った瞬間､入ったとは思いました｡球界を代表する投手だし､三振して当たり前の気持ちでいきました｣(ニッカンスポーツより)

悔しそうな田中を尻目に､ダイヤモンドを回る中田｡
4試合連発で11戦8発｡オリックス･金子千､西武･涌井､ソフトバンク･和田に続き､最も旬なエースを打ち砕いた｡

高校時代､夏の甲子園で1度だけ対戦したことがある田中を相手に､プロ初の公式戦対決｡
中田は正確に配球を読み､狙い球を確実にとらえた｡二回の第1打席は低めのフォークを空振り三振｡
五回はスライダーで一飛に打ち取られたことで､考えはまとまった｡

｢思った以上に変化球が多かったけど､次は速いボールでねじ伏せにくると思った｡変化球ならしょうがないという気持ち｣(同)

カウント1-1から内角141キロのツーシームをコンパクトに振り抜いた｡

中田には､圧倒的な｢読み｣の才能がある｡
11試合で放った8本のうち､7本が3打席目で､残り1本は4打席目｡
試合前のミーティングこそ熱心に聞くが､試合中に打撃コーチにアドバイスを求めたことはないという中田｡

｢1､2打席目で立った後だと､特に余裕を持って(打席に)入れます｣(同)

肌で感じた感覚で次の球種を絞っていくのだ｡

中田対田中｡チームの勝敗に関わらず､観客が興奮する最高のカード｡

｢またやらせてもらう機会があれば､全力でやりたい｡すごい投手の打席に立てるのはうれしいし､勉強させてもらえるので楽しみ｣(同)

この日の対決は､試合には負けて勝負には勝った､というところだろうか｡
互いに成長できる相手との対戦を終え､中田はなんとも気持ちのいい表情で話した｡

(2010年8月9日)

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