高橋みゆきの脅威のスパイク決定率の裏にあるものとは!?

柳本ジャパンが北京五輪に王手をかけた。

女子バレー・北京五輪世界最終予選で、21日、日本は3−1でドミニカ共和国を見事下した。

その原動力となっているひとりが、ベテランの巧さを発揮して日本の4連勝に貢献した高橋みゆき(たかはしみゆき=29)その人だ。

「まだまだ修正するところは多いですよ」と甘えの姿勢こそ見せないものの、ドミニカ戦でも50%近いスパイク決定率で15得点をマーク。

次の韓国戦で五輪出場が決まることにも冷静で「(五輪出場を)決めるという感じはないです。1戦1戦ですから」と全勝での1位突破を目指している。

今回の日本女子は、紛れもなく強い。

柳本体制になった2003年2月11日から5年。セッターの竹下は現在30歳。エースの高橋は29歳、杉山は28歳。当初は若いと言われた栗原も23歳になる。

チームも中心選手も今がまさしく熟成の極みで、メダルを取るなら今年ほどのビッグチャンスはないのだ。

170センチという身長ながら、世界の舞台を経験した元気印の高橋。5位に終わったアテネ五輪後、イタリア・ビチェンツァで2年間の海外修行を行った。

自信はあった。セリエAでの経験と自信を背に、昨年11月のワールドカップに満を持して臨んだ。ところが、結果は91年大会に並ぶ史上ワーストタイの7位。3位以内に与えられる五輪出場権には遠く届かなかった。

期待された高橋は、ライバル国に徹底的にマークされ、得意のブロックアウトを封じられてしまっていたのだ。

4月に宮崎・都城市で行われた合宿でも不調は続き、紅白戦で代表初選出の狩野美雪(かのうみゆき=31)に先発を明け渡す日が続いた。

そんなとき、救世主となったのが、ほかならぬ柳本監督だった。監督は、アテネ五輪後の全試合をDVDに編集し、高橋の弱点を分析。

スパイクを打つ際、ストレート方向に偏っていることを指摘し、左右に打ち分けるように指導した。

そして今回の最終予選で、柳本監督はシドニー五輪出場を逃したメンバー、高橋と竹下佳江(たけしたよしえ=30)をチームの中心に据えた。悔しさを知っているからだ。

高橋が見据える、わずか0.8秒というトスからスパイクまでの時間の中には、そんな数々の期待と積み重ねが詰まっている。

21日を終了した時点で、勝率・セット率ともにセルビアと同率で並んだが、得失点率の差で2位。残る強敵はそのセルビアと宿敵・韓国だ。

高橋は、どんな敵であっても、自らの試練を打ち破ったように、そのブロックをぶち抜いてくれるに違いない。(古田鉄寿)


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