ムン・グニョンへの悪質な書き込みが増加!! ネットによる言葉の暴力が蔓延!?

インターネットという世界は、言わずもがな匿名性の強い世界だ。

日本でも某巨大掲示板への書き込みなどで、訴訟問題になったり、サイトによっては犯罪を誘発するような状況も生まれてきた。

また、学校の裏サイトなど、身近にいるのにサイトを通じてしか話ができない人も急増し、まさにコミュニケーションにおける末期症状と言えるべき暗部も目立ってきている。

そんな中、記憶に新しいのが韓国女優のチェ・ジンシルの自殺だった。

死亡直前に自身をめぐる「金貸し」のうわさを立てられ、精神的な苦痛で疲弊していた彼女。

「世の中の人が恨めしい。金貸しだの何だの、わたしとは関係がないことでどうしてわたしを苦しめるの」

そう母親に悩みを打ち明けて泣いた後、チェは帰らぬ人となった。

これはすべて、ネット上でのうわさに歯止めをかけられず、本人を精神的に追い詰めた、ネット利用者による集団暴力行為と等しい。

いや、等しいのではなく、まぐれもなくそうだ。

今、この恐ろしい牙が、別の人物に向けられようとしている。

それは日本でも放映されたドラマ「秋の童話」などに出演した、韓国の人気若手女優、ムン・グニョン(21)。

彼女の社会事業への寄付行為に対し、インターネットのサイトで「有名になりたいだけだ」といった悪質な書き込みが殺到。

韓国では新聞社が悪質な書き込みへの規制を求める社説を掲載するなど、社会問題化している。

ムン・グニョンは、1999年に短編ドキュメンタリー映画「On the way」でデビュー。

KBSドラマ秋の童話をきっかけに大ブレイクし、今では「国民の妹」といわれるトップアイドルだ。

2003年からこれまで、子供図書館の建設費などとして、匿名で共同募金会に計8億5000万ウォン(約5700万円)を寄付し、個人の最高額に達した。

韓国メディアによると、募金会が12日、この事実を匿名のまま公にした。

しかし「20代のトップ女優」などのヒントから名前が報道され、インターネットのサイトに「自分の宣伝を狙っている」などの書き込みがあふれかえってしまったのだ。

所属事務所は「公式的な対応は考えていない」と言うが、チェの自殺があっただけに、警察当局が資料の収集を開始。

大手ポータルサイトも、書き込みの内容をチェックし削除に乗り出した。

常識で考えればとんでもなく不条理なことはおわかりだろう。

善意を捻じ曲げられ、人格を否定されているのだ。

いわゆるスキャンダルという類のものではなく、完全にひとりの人間を堕とそうとしている罠なのである。

朝鮮日報は「寄付天使に向けられた悪質批判」との社説を掲載し、「無責任なネット暴力を追放するための措置が必要だ」と訴えた。

韓国の話題ではあるが、日本も人ごとではない。

良識あるネットユーザーが広く育つことを願うばかりである。(古田鉄寿)




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