ファーストキス
[第7話]
美緒(井上真央)は、秋生(平岡祐太)と食事の約束をしていた。美緒がいつもの普段着のままでデートに出かけようとしていることを知った和樹(伊藤英明)は、「男というものは女の子がどういう格好で来るのか期待している」んだと美緒に言い、勝(阿部サダヲ)に美緒の服のコーディネートを頼む。「あとはメイクだ」とばかりに、和樹と勝は一流(劇団ひとり)にヘアメイクを任せた。一流はやきもちを焼きながらも、美緒をかわいらしく仕上げる。そんな美緒に、和樹は「とにかく猫をかぶれ」とアドバイス。一方、美緒のほうも、いつものように憎まれ口を叩きながらも、喜びを隠せない。08/20放送
同じころ、秋生は、蓮子(松雪泰子)に話があると呼び出されていた。「今日は予定があって……」という秋生に、「立ち入ったことを聞くけど、美緒さんと個人的な付き合いをしているの?」と尋ね、彼女の治療にのめり込んで他の患者にしわ寄せが出たらどうするのか、と問いかけた。それに対して秋生は、他の患者さんに絶対に迷惑をかけるようなことはしない、ときっぱりと答える。秋生の言葉を聞いた蓮子は、「とにかく医師であることを忘れないように」と釘をさしただけれで、それ以上何も言わなかった。
と、そのとき、蓮子と秋生は、教授の青木(柴俊夫)から呼び出しを受ける。他の医大から引き受け要請があった患者の緊急オペを蓮子に頼みたいのだという。患者は15歳の女の子で至急オペをしないと命にかかわるのだという。それを快諾する蓮子。すると青木教授は、秋生に助手として参加するよう命じた。
和樹はいつも以上に張り切って仕事をしていた。そんな和樹に諸畑(蕨野友也)が言った。師匠の番場(竹中直人)のところに、パリの有名な雑誌から撮影アシスタントを探しているという話があった。それで、和樹か諸畑のどちらかを行かせようと思っているのだという。
諸畑は「正々堂々と勝負をしましょう」と和樹に宣言した。
秋生の事情を知らない美緒は、待ち合わせ場所のカフェでずっと秋生のことを待ち続けていた。だが、いつまで待っても秋生は現れない。携帯電話をかけても、つながらなかった。美緒は、カフェの閉店時間まで店で待ち続けていたが、諦めて家に戻った。
仕事が終わると、番場は正式に和樹と諸畑にアシスタントの話をした。契約期間は9月1日から一年間だ。急な話ではあるが、今回のことは大きなチャンスになるだろうと。話を聞いた諸畑は、自分の方が仕事に対して真剣だ、と即座にアピールした。だが和樹は、美緒を残したまま行かなければいけないことが気になり、すぐには返事が出来なかった。番場は、そんなふたりに、紹介状に添える作品を持ってくるよう命じた。
パリでのアシスタントの話を知った一流は、和樹を叱咤激励する。が、勝は「その方がラクなんじゃないの?」と美緒のことを気にしていることに気づいていた。しかし和樹は、自信がない、と弱気だった。そこに、美緒が帰ってきた。和樹はどうも美緒のようすがおかしいことに気付いたが、美緒はごまかす。そのとき、美緒の携帯電話に秋生から連絡が入る。秋生は、緊急のオペで連絡できなかったことを詫びると、「これから会えない?」と美緒を誘った。しかし、美緒は「もういい。無理しなくていいよ」という。秋生は「じゃあ、明日は?」というが、美緒は「もう面倒くさくなっちゃった」と言って電話を切ってしまう。そんな美緒に和樹は「すっぽかされたのか?」と心配をする。が、美緒は「関係ない」と部屋に閉じこもってしまう。
秋生が蓮子に「偉そうなことを言って介助も満足にできずにすみません」と謝っていると、青木教授がやってきて「謝ってすむことじゃない」と言い、蓮子にはそのオペの腕前を褒めた。そして、「特定の患者を思いやる余裕があるんなら、もっとしっかり勉強しろ」と注意を促した。何もいえない秋生を蓮子が「結城先生はきちんと勉強しています。私がきちんと面倒みますから」とかばった。改めて謝る秋生に、蓮子は「医者というのはあなたが思っている以上に窮屈な職業なのよ」と話をした。
翌朝、美緒が起きていくと、勝がいた。そして、和樹にパリ行きのチャンスが訪れていることを知る。「バカだけど写真は悪くないからね」という美緒に、勝は「イケメン先生に電話しなよ」とアドバイスする。ずっと日本にいられるわけじゃないのだから、美緒にも和樹にも後悔はしてほしくないのだという。勝は、和樹が美緒のためにパリ行きの話を諦めるつもりなのではないかと思っていたのだ。でも、勝は和樹にパリに行ってほしい。だから、美緒には幸せになってほしいと。
その頃、和樹は、秋生を訪ねて白鷺大学付属病院にいっていた。そして和樹は、美緒に電話してやってほしい、と秋生に頼む。「面倒くさくなってとか言ってましたけど、あいつ、本当に先生のこと好きですから」と。すると、秋生は「もうやめてもらえませんか。そういうことお兄さんから言われたくありません」と厳しい表情で言う。和樹は「今までなら無責任で興味もなかったけど、それでも、あいつは手術の前にこんな兄貴を頼って、日本にきたんです。だからほっとけなくて」というが、秋生は「それでも放っておいてください。ぼくはお兄さんに言われたから約束をしたわけではありません。自分で美緒さんと会おうって決めたんです。その気持ちを大事にしたいんです」とその場を去った。
和樹が帰ろうとすると、蓮子がいた。「私は2人の交際には反対です」という蓮子に、「おれは応援したい」という和樹。お互いにとってメリットがないと言い切る蓮子に、和樹は人を好きになったことがないのかと問う。が、蓮子は答えずに行ってしまった。
和樹がひとり写真スタジオにいると、そこに美緒がやってきた。「カメラが好きなら迷うことないじゃない」と美緒はいうが、和樹は答えられない。そんな和樹に、美緒は「ばっかじゃない。私のためなんかじゃないでしょ。お兄ちゃん、こわいだけだもん。すっごく行きたいのにびびってるだけでしょ」と言い放つ。和樹も「自分だって、本当にほしいものから病気を言い訳にして逃げてるだけだろ」と言い返す。が、美緒は「私はお兄ちゃんとは違う。たとえ傷ついても私はほしいものはほしいっていうから」とスタジオを出て行った。
スタジオを出た美緒は、この前、秋生と待ち合わせたカフェに行き、そして、秋生に「やっぱり今日、会いたいと思って」と電話をかけた。「今、電話しようと思ってた」と秋生に言われ、美緒は嬉しいながらも「ウソつき」と悪態をつくが、その時、目の前に秋生の姿が飛び込んできた。今日は秋生の方が、美緒を待とうと思っていたらしい。そのことが嬉しい美緒。
ドライブ、初めての一緒の食事、そのすべてが新鮮だった。美緒は「本当は彼女いたりして」とからかったりしていたが、「本当は何はなしていいかわからないの。こういうの初めてだから」と告白する。そんな美緒に、秋生は「普通でいいんじゃないかな?」と微笑むのだった。
一方、和樹ははるな(酒井若菜)に会っていた。悩んでいるらしい和樹に「和樹の人生は和樹のものだよ。妹のために諦めるなんておかしい。そんなの美緒ちゃんだって喜ばないよ」というはるな。と、和樹の携帯に蓮子から電話が入った。会って話しておきたいことがあるという。
家では一流と勝が話をしていた。一流は最近、勝の様子がおかしいことに気づき、問い詰めたのだ。すると、勝は、美緒の病気はバクダンを抱えているだけではなく、そのリミットももうすぐらしいと話す。それを聞いて動揺する一流。
美緒と秋生は夜景を眺めていた。「嫌われる方がラクだから」という美緒に、秋生は「ぼくは思い切り素直の方がいいと思う」といい、美緒の手を取る。「心臓、ドキドキしちゃうかも」と言いながらも、美緒はそっと秋生と手をつないだ。
和樹が病院に駆けつけると、蓮子は、自分も過去、患者と恋愛をしたことがあると告白し、医者も患者も両方傷つくのだから、やめるように説得してほしいと頼んだ。しかし、和樹は、自分がどうこう言ったところでどうなることでもないし、辛いばかりではなかったはず、先生が間違ったことをしたとは思えないと言った。蓮子はその和樹の言葉に感謝をしながらも、「それでも2人の応援はできない」と言った。その時、先日、緊急オペをした患者さんの容態が悪化したと連絡が入り、蓮子はそちらに向かった。
家に帰る前、秋生にキスされそうになり、「もう少し大事にとっておきたい」という美緒。「最後に残ったチョコレートみたいだね」という和樹に、「初めてもらったオマケみたいなんだよ」と美緒は笑う。美緒が人生で初めて知った恋の喜びだった。
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キャスト
福永美緒 [age20] / 井上真央(いのうえまお)病気療養のため、ロスにいた和樹の妹。10・・・
加納和樹 [age28] / 伊藤英明(いとうひであき)
美緒の兄。カメラマン志望だが、いまだアシ・・・
二階堂勝 [age30] / 阿部サダヲ(あべさだを)
和樹と同居中のスタイリスト・アシスタント・・・
進藤一流 [age28] / 劇団ひとり(げきだんひとり)
和樹と同居しているメイクアップアーティス・・・
結城秋生 [age26] / 平岡祐太(ひらおかゆうた)
美緒の日本での担当医がいる白鷺大学付属病・・・
斉藤はるな [age27] / 酒井若菜(さかいわかな)
銀行員で、ファッション雑誌の読者モデル。・・・
番場大 [age50] / 竹中直人(たけなかなおと)
個性派の有名カメラマン。自分のスタジオを・・・
高木蓮子[Age33] / 松雪泰子(まつゆきやすこ)
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