ファーストキス
[第11話]
手術を受けることに対して恐怖を感じた美緒(井上真央)は、秋生(平岡祐太)にその思いをぶつける。美緒は、この夏、和樹(伊藤英明)たちと楽しい時間を過ごし、秋生に恋もすることができ、て幸せを感じていた。だからこそ、成功率50%の手術が怖くなったのだ。秋生は、そんな美緒の思いを受け止め、彼女を抱きしめた。 09/17放送
同じころ、和樹は、白鷺大学附属病院を訪れ、蓮子(松雪泰子)に会っていた。蓮子が秋生の代わりに函館医大に行くことを知り、「どうして美緒と秋生のことで左遷されなければならないのか」と苛立ちをあらわにする。しかし蓮子は、今回のことは人事異動に過ぎないのだから和樹には関係ないとあくまでも冷静だった。そんな蓮子に、和樹は、「美緒の兄貴として言ってるんじゃない俺が行ってほしくない」と告白する。「ありがとう」と蓮子は和樹に礼を言うと、でも、医者を続けたいから、新しい場所で自分を試したいから、函館に行く、と答える。そんな時、秋生から蓮子のもとに電話が入った。秋生は、美緒が手術を受けたくないと言っていることを蓮子に伝えてきた。
美緒が秋生とともに蓮子のもとにやってきた。事情を知った和樹は、驚きを隠せない。蓮子は、「私があなたでも迷うと思う。話し合って納得できないなら、手術を延期できるかどうか、ロサンゼルスの病院に確認する」と美緒に告げる。そのやりとりを聞いていた秋生は、たまらず口を挟む。「手術をしたら、何年も生きていられるじゃないか」と。しかし、美緒は「でも死んじゃう可能性だってあるんだよ」と答える。それでも、秋生は「手術を止めても不安を抱えて生きていかなければならないのだから、可能性に賭けるべきではないのか」という。美緒には後悔して欲しくないからだ。すると美緒は、「先生は何もわかってない。私には何十年も生きるより、いまの方が大事なんだよ」と秋生に言い放ち、診察室を出て行ってしまう。
美緒のあとを追いかけた和樹は、病院の前の道で彼女に背中を向け、しゃがみこんだ。「しょうがないな……」と仕方なくおんぶされた美緒に、和樹は「手術のことは自分で決めていいから」と伝え、「でも、わかってると思うけど、結城先生は美緒が好きだから言ったんだ。結城先生も怖いんだよ、きっと」と続けた。それは和樹も同じだった。先が見えないというのは誰でも怖いことだと。
しかし和樹は、何年かかってもプロの写真家になる、という強い決意があることを美緒に話す。そのことを聞いた美緒は、その日を待つためにも「手術、受けるよ」と答える。しかし、その代わりに最後のワガママで、を聞いて欲しい、ロサンゼルスに帰る前に、もう一度、和樹の最高傑作となる写真を撮ってもらいたい、と頼んだ。
一方、和樹は番場(竹中直人)のところに行き、「餞別をいただいたおかげで、一人でやっていく自信が持てました」と挨拶する。「ツメが甘い」と番場はどなるが、和樹が「先生の最高傑作ってなんですか」と訪ねると、「パリのおばあちゃんだ」と答えた。一人でパリに行き、ひもじい思いをしていたらパンをくれたおばあちゃんがいた。お礼に写真を撮ったのだが、そこには自分の夢が詰まっている。「大切なことはな、自分が撮りたいと思うものを撮ることだ」と番場は和樹に師匠として最後の言葉を伝えた。
和樹は最高の写真を撮るたえに、一流(劇団ひとり)や勝(阿部サダヲ)、はるな(酒井若菜)にも協力を持ちかけ、美緒のウエディングドレス姿を撮りたいと伝える。それは和樹が前から撮りたいと思っていたものだ。「でもダメだよな……」と落ち込む和樹に、「結婚式なんてしなくていいじゃん。ここにはヘアメイクとスタイリストがいるんだよ。簡単じゃん」とはるなは背中を押す。盛り上がる3人に、和樹はテレながら「ありがとう」とお礼を言った。そこに美緒が帰ってきたが、不機嫌だった。秋生と仲直りをするはずが、また売り言葉に買い言葉のような感じでケンカしてしまったのだ。そうしている間にもロス帰国の日は近づいてくる……。美緒の様子が気になった和樹は秋生に連絡をする。帰国の前日、お別れパーティで美緒にウェディングドレスを着せるので、相手役をやってくれないかと頼んだのだ。
そして、お別れパーティ当日。
用意された会場やウェディングドレスを見て、美緒は大はしゃぎだった。秋生も本当の結婚式の予行演習として出席すると聞き、美緒は喜びを隠しきれなかった。
勝はウェディングドレスを美緒に着せながら、自分も独立を考えているとまじめに言った。「珍しく真面目だね」という美緒に、「それは今年の夏がアツかったから」と笑う。さらに、一流にメイクをしてもらいながら、美緒は「本当の結婚式を迎えるときがきたら、一流にメイクしてもらっていい? 一流にメイクしてもらうとなんか元気になれる気がするの」と言った。
完璧にドレスアップした美緒に、和樹はカメラを向け、ひたすらシャッターを押し続けた。
と、そこに電話がなった。秋生から「急なオペが入って遅れそうなんだ。必ずいくから」というメッセージを受け取った美緒は、不安そうな和樹の顔を見て微笑んだ。
そして秋生がいないままパーティが始まった。美緒は「あいつ、一生懸命仕事してるから、こっちが楽しんだほうが喜ぶよ」と言ったのだ。そこで和樹は、「今日は妹のためにありがとう」と挨拶をし、ついでに「パリに行くことにしました」と発表する。パリ行きの話はなくなったから、コネもない。でも、今まで番場や勝、一流やはるなに甘えてきたから、誰も知らない人のいるところに行くしかないと思ったのだ。そんな和樹に美緒は「いいんじゃない?」と言い、みんなに「こんなしょうもない男ですが、兄の成功を祝ってください。そして、この2カ月、本当に楽しかった。無事に帰ってきたら、またバカ話してください」と挨拶をした。
乾杯をし終えると、和樹は記念写真を撮ろうといいだす。和樹が新郎席が空いているのを気にすると、勝が「おれが撮ってやるからおまえが座れ」と促した。隣に座った和樹に、美緒は「私、小さい頃はお兄ちゃんのお嫁さんになりたかった」と話す。
出発の日は、和樹が空港まで美緒を送った。そして、「ごめんね。結城先生来られなくて」と和樹は美緒に言う。美緒は「しょうがないよ、医者だもん」と答え、「もし、私が死んじゃったら読んで」と手紙を渡す。和樹は「そんなこと言うな」と泣きそうな顔になるが、美緒はそういう可能性があるのは事実だといった。
美緒が「じゃあ、またね」と言うと、和樹も「またな」と美緒の頭をなでた。そこに、秋生がやってきた。「おそすぎ」と美緒が笑うと、「でも、間に合っただろ」と秋生はハート型のネックレスを彼女の手に握らせた。和樹は「あとは先生に送ってもらえ」といい、空港をあとにした。
それから和樹は蓮子に電話し、パリ行きを伝えた。蓮子が新しい場所で自分を試したいといったのがカッコよかったからだ。和樹は「美緒の手術が成功し、おれがパリで成功したら、もう一回会ってもらえませんか」と頼む。すると蓮子は「前向きに検討させていただきます」と笑った。
いよいよ出発だ。美緒は「また会えるよね」と言いながら涙がとまらない。「すぐ会えると」という秋生に、「どうしてわかるの?」と美緒が聞くと、「好きだから」と秋生はきっぱり言った。美緒も「私も好き」とはじめて素直に言えた。秋生は「おれ、お兄さんに勝てるかな」と美緒に聞いた。「どうだろ」と答えた美緒の顔が穏やかだった。そして、美緒と秋生はファースト・キスをした。
手術を間近に控えた美緒のところに、和樹からウェディングドレスの写真が届いた。美緒はみんなの思いを胸に、手術を受けた。和樹はその写真を持って、パリに行き、売り込みをしてまわっていた。
手術は成功した。美緒は遠くで頑張っている和樹や秋生たちに会う日を夢見て、大きく深呼吸をした。
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キャスト
福永美緒 [age20] / 井上真央(いのうえまお)病気療養のため、ロスにいた和樹の妹。
10年前に両親が離婚し、母親は美緒を引き取り、ロスに連れて行ったのだ。
この夏、完治のための手術を受けられることになったが、それは命にかかわる難しい手術で成功率は高くない。まだ20歳の美緒にとっては、手術はつらい選択だ。まだ恋もしたことがない美緒は、オペをする前に好きな事をしておきたい、どうせ死ぬなら思い残すことなく、なんでもしておきたいと日本にやってきたのだ。
以前はかわいらしい少女だったが、病気のために甘やかされ、今ではとても生意気でワガママな女の子になってしまった。そして、10年ぶりの兄との再会。
「美緒の願い事は、いつだってお兄ちゃんがかなえてやるよ」という昔の約束を思い出し、今まで出来なかったことを、ここぞとばかりに兄の和樹に要求する。美緒の手術のことを知っている和樹は願いを叶えるために奮闘する。美緒はステキな恋、そして最高のファースト・キスができるのか?
加納和樹 [age28] / 伊藤英明(いとうひであき)
美緒の兄。カメラマン志望だが、いまだアシスタント。
10年前に両親の離婚で別れ別れになるまでは、志高くカメラマンになる夢を持っていた。
しかし、父が新しい妻と暮らすために家を出、ひとり暮らしとなってからは、女たらしのだらしない生活を送っていた。それでも、なんとかプロになりたいと有名なカメラマンの弟子となった。が、その師匠とそりがあわず、仕事に限界を感じてもいた。
今は、仕事仲間でもあり、高校時代の部活仲間でもある、悪友の家に転がり込み、怠惰な共同生活を送っている。そこへ、妹の突然の帰国。10年振りの再会ということもあり、無理やり生活を取り繕うとする。しかし、和樹に劣らず、美緒も変わり、驚くほどのワガママ娘になっていた。こうして、ひと夏、そんな妹に翻弄されることとなる。
二階堂勝 [age30] / 阿部サダヲ(あべさだを)
和樹と同居中のスタイリスト・アシスタント。
高校時代、卓球に熱中していたが、あるきっかけがあり、ファッション界に興味を持つ。そして、無謀にもスタイリストの道へ。しかし、その才能はなかなか開花しない。今は後輩で、職場も同じところの一流の家に、和樹とともに転がり込んでいる。
進藤一流 [age28] / 劇団ひとり(げきだんひとり)
和樹と同居しているメイクアップアーティスト。こちらはアシスタントではない。
元々、親が所有していた家に一人暮らしをしていたが、高校時代からの悪友・和樹と勝が転がり込んできて、共同生活をするはめになった。家事は三人で分担するはずだったが、気がつくと、自分ひとりがやらされている……。
結城秋生 [age26] / 平岡祐太(ひらおかゆうた)
美緒の日本での担当医がいる白鷺大学付属病院の新人医師。
美緒のはじめての採血の際、「痛い!へたくそ」とののしられ、「嫌な患者だ」と思うが、どこか気になる存在で、不思議と心が通じ合うことも。その後も、何かと美緒の助けになることが多いが、ふたりとも、あえてつっけんどんな態度を取る。
斉藤はるな [age27] / 酒井若菜(さかいわかな)
銀行員で、ファッション雑誌の読者モデル。和樹のルックスに惚れていて、自分は彼と付き合っているつもりでいる。時折、お小遣いをあげたりしていたが、他に女がいることに気づき、「お金返して」と和樹の家を訪れる。そんなとき、美緒と知り合い、憎まれ口を叩きながらも何故か意気投合、人生初の親友となっていく。
番場大 [age50] / 竹中直人(たけなかなおと)
個性派の有名カメラマン。自分のスタジオを持っており、主な仕事はファッション誌のグラビア撮影。アシスタントに厳しく、衝突することも多い。和樹もその一人だったが、番場としては和樹の才能はどこか認めている。
高木蓮子[Age33] / 松雪泰子(まつゆきやすこ)
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