｢深イイ話｣で紹介した焼肉屋｢焼肉酒家えびす｣で食中毒､全店営業停止へ

北陸地方を拠点に置く焼肉チェーン店｢焼肉酒家えびす｣砺波店(富山県砺波市)で4月27日､生肉などを食べた6～70歳の男女24人が腹痛･下痢を訴えて13人が入院､うち10歳未満の男児が29日食中毒で死亡する事件が発生した｡

患者のうち4人から溶血性尿毒症が発症､3人から病原菌O157が検出されるなど被害は深刻｡
調べによると､21日から26日の間に同店で食事した客で主にユッケを注文した人が感染しているといい､死亡した男児からは腸管出血性大腸菌O111が検出されたという｡

｢焼肉酒家えびす｣を展開する(株)フーズ･フォーラスは29日夜会見を開き､北陸3県と神奈川県の全20店舗を無期限の営業停止とすることを発表した｡
5月1日には福井県内でも2日前･27日にユッケを食べた6歳の男児が死亡していたことが発覚｡

同社に牛肉を提供する都内の食肉卸業者は｢生食用としては販売していなかった｣と事情を説明｡
フーズ･フォーラス社も｢生食用ではないと認識していた｣と話し､衛生管理面の欠落が問いただされている｡

幼い子供の命を奪う大事件となった食中毒騒動｡
当事者となった｢焼肉酒家えびす｣は事件が発見する10日ほど前､日本テレビ系『人生が変わる1分間の深イイ話』の｢激安SP｣で大々的に紹介され､出演者全員が絶賛するお店だった｡

トントロ･豚バラ･若鶏肉ら6種が1皿100円の超激安価格で販売されており､最も高級な商品でもカルビが1皿380円と低価格｡
店内は黒を基調とした高級感漂う空間で､テーブルごとに担当の店員が付く極め細やかなサービスもウリだとされた｡

スタジオのパネラー全員が"深イイ"のレバーを引き"全員一致の深イイ話"に認定｡
島田紳助も｢偉い､安いだけちゃう｡"安い･態度悪い"多いやん｡｣と店の運営方針を褒め讃えた｡

モデル･菜々緒が自分が高級焼肉店でバイトしていた頃同じようなサービスを行っていたエピソードを話すと､｢ここは偉いよ､安物の肉でやで｣と言葉を誤り周囲から総ツッコミ｡
｢私の発言が不適当でした｡深くお詫び申し上げます｡"安物の肉"発言は真意ではございません｣と直ぐ様頭を下げた島田紳助だったが､奇しくも"安物"どころか食中毒を発生させる肉を提供してしまったのだから皮肉なもの｡

｢焼肉酒家えびす｣はおよそ5年前から食中毒に感染した客がいたとされ､衛生管理問題は今に始まったことではないという｡
番組放送が4月18日､重症を患った感染者が同店を訪れたのが21日以降とタイミングが連動しており､当然日本テレビが取材したのが事件発生以前であることから､同局としても予想だにしなかった大事であろう｡

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