傍聴マニア09
[第10話]
森夫(向井理)は、傍聴仲間の山野(六角精児)や美和(南明奈)とけんかをして、そのまま別れてしまう。3人がケンカになったそもそものきっかけになったのは、先日傍聴をした「援助交際の裁判」だった。12/24放送
あの裁判以来、森夫は傍聴を趣味とすることをやめる決意をするが、皮肉にも、そんな森夫に「裁判員裁判の呼び出し状」が届いた。
森夫が裁判員を担当するのは、725号法廷「殺人」の裁判だった。そこで森夫は山野や美和と顔を合わせる。傍聴席にいる森夫を見た美和は驚いていた。
被告人は早川勝。社会人ラグビーの選手として会社に入社するも、同じチームの井口選手のタックルを受けて故障し、選手生命を絶たれた。さらに会社もクビになる。
その後、再就職を目指す早川だったが、結局、職が見つからず、ネットカフェ難民に。そこで井口への復讐を考えるようになったという。
そんなある日、復讐のチャンスが訪れたという。路上で、早川は井口にタックルをして――井口は死亡した。
「私を死刑にして下さい。お願いします」早川は法廷で述べた。
この裁判の焦点は、殺人罪か、傷害致死罪か、だ。「動機が明白なこと」「本人が殺人の意思を認めていること」から、裁判員の間での意見は「殺人罪」という方向に傾いていた。
しかし森夫には納得ができなかった。早川はすぐに救急車を呼んでいることから、「殺人の意思は無かったのではないか」と考えたのだ。しかし、森夫が反論すると、「貴方は、人殺しを庇うんですか?」と言われてしまう。ついつい弱気になる森夫…。
「僕には、早川を裁く資格があるんだろうか」森夫は裁判員の辞退を考えるが、そこに山さんがやってきた。山さんは森夫に裁判員の責任をまっとうするように説得するが、森夫は「自分には責任のある事はできない」と弱気になってしまう。
「もう一度聞く。お前は、なぜ裁判を傍聴していたんだ?目の前で起きるリアルな裁判が面白かったからか?人間の本質を見て、心を揺さぶられたからじゃないのかよ!」山さんの言葉に心を打たれた森夫は裁判員を続けることにする。
森夫は事件現場に行き、被告の気持ちを考えた。
第3回公判で、森夫は、早川に質問をぶつけた。
「どうして服がそんなに汚れているのですか?」
「肩口に穴が開いているのは何故ですか?」
「もう一度、チームに復帰しようとしていたのじゃないんですか?」
「あの公園で、ラグビーの練習をしていたんじゃないんですか?」
森夫の言うとおり、早川は公園で毎日タックルの練習をしていたのだ。そこに現れたのが、井口だったという。井口は言ったそうだ。
「あのタックル、わざとやったんですよ、レギュラー奪うためにね。邪魔だったんですよ」その言葉を聞いた早川は井口にタックルをして…この事件が起きたのだ。
「死刑になって井口に謝りたい」という早川に、森夫は、自分が傍聴マニアだということを告げると、「歯車が狂って罪を犯してしまった被告人は、その罪と向き合って生きている」と早川に言葉を投げかけた。
「きちんと罪を償って新しい人生を歩めばいいじゃありませんか。裁判所はそういう機会を与えてくれる場所だと思います」森夫の言葉が早川の心に響いたようだった…。
――それから3年後。
森男はちゃんと就職し、主任になっていた。それでも暇を見つけては裁判の傍聴をしていた。美和ちゃんは、なんと難関の司法試験に合格!将来に向かって頑張っている。山ちゃんは相変わらず、山ちゃんのままだった。
今も3人は仲の良い傍聴マニアだ。
《終》
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キャスト
北森夫 / 向井理(むかいおさむ)26歳、今時のフリーター。優柔不断で流さ・・・
織田美和 / 南明奈(みなみあきな)
20歳、司法試験目指して勉強中の大学生。・・・
山野鳥夫 / 六角精児(ろっかくせいじ)
熱☆烈な傍聴オタクである。持ち歩いている・・・
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